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何でこんなこと書くんだろう?

一昨日、「L型大学」「G型大学」の某氏の意見への批判(のさわり)を書きましたが、以前に、タチバナキ先生が「二流、三流大学の学生たちには理論ではなく実技、実学を重視して教えるべき」(橘木俊詔『ニッポンの経済学部』中公新書クラレ、p.206)と書いていたのを思い出しました。

この記述が含まれる第8章(「底辺大学とトップ大学」)をかなりの違和感を持って読んだのですが、最近、また同じ著者による『経済学部タチバナキ教授が見たニッポンの大学教授と大学生』(東洋経済新報社)が出ましたので、遅ればせながらキンドル版をダウンロードしました。

柳の下の二匹目のドジョウ的タイトルは、出版社の命名だと思いますが、タチバナキ先生が著者でなければ、たぶん手に取ることはないでしょう。表紙も品がないのですが、「タチバナキ先生よく許したなあ~」という感じ(まさか、本人の意向ということはないよね?)。

アマゾンの商品紹介には、「学生が勉強しないと言われて久しいが、実は大学教授ほど気楽な商売はない。生涯に書いた主要論文がたった2本という教授も存在し、大学当局もぬるま湯体質に目をつぶっている」(後略。下線は引用者)とあります。

この部分(特に下線部)を読んで、「出版社が売るために適当なことを書いている」と思ったのですが、実際に本文を読んで吃驚。本当にタチバナキ先生がそのようなことを書いておられます。

ちょっと引用しますと、「日本の大学で一般的なキャリアパスを進む場合、大学院を修了して助手や助教になった教員が助教授や准教授に昇進するためには、実は昇進論文といった名目で論文を1本書くだけでいい。教授になるときも、また1本書けばそれで教授になれる」(キンドル版で11%の辺り。下線は引用者)。

ええっ!愛妻弁当を吹き出しそうになってしまったじゃないか(噴飯)。そんなわけあるかいな。いつの時代の話や~。こんな嘘を書いてはいけません(仮にそんな大学があるとしても、大学一般の話のように書いているので、嘘をついたつもりでなくても、問題のある記述)。

実際の昇進では、相当数の論文本数も要求されますが(もちろん、1~2本なんていう数字ではありません。こんな本数では助教や講師にも採用されないよ)、質も当然重視されますので、経済学部あたりだと(文系他学部は知らない)、国際査読誌への掲載論文じゃないと論文とは認めない風潮もあります。

あまりの自信満々の事実誤認(?それとも確信犯?)ぶりにうろたえつつも、続きを読みますと・・・

「私の知るかぎり、それは教授や准教授に任命するにあたっての関係者の暗黙の了解であり、だからこそ、先述したような「生涯に2本しか主要な論文を書かない教授」が現実に存在するのである」(同)

「関係者の暗黙の了解」って・・・。経済学部長のワタクシはそんなこと了解してないよ。

とにかく、この部分に至って、「これ以上読むのは止めようかな~」と思ってしまいました。

タチバナキ先生って、立派な経済学者だと思っていたので(まあ前作で「あれ?」とちょっと思いましたが)、ちょっと残念です。いや、こんな些細(?)なことに拘らずに、読み進めるべきなのかも知れませんが・・・。

しかし、最近の経済学者(特に若手)は、「トップ大学」に限らず、無茶苦茶頑張って国際的に通用する成果を求めて研究を進めている人がほとんどです。タチバナキ先生、上記のようなことを書くと、若手の邪魔にしかならないことに気がつかないのかな?(それとも、後半で若手をフォローするようなことを書いているのかな?)。

腹が立つと言えば、これほど腹が立つこともないなあ。
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コメント

 20年ほど前、国立研究機関に勤めていた頃に、トップで論文も学会発表も全くなし、もちろん博士号も無しに国立大教授と同号俸の給与に至った人は研究所に複数居ました。教授と同じ号俸には、大卒なら多少は早さに違いこそあれ、誰でもなれる、というのが普通だったのです。
 私はその機関にいるうちに論文を積んで論文博士を取りました。たくさんの先任にお世話になるなかで、筆頭著者として書き続けることが必須であることと、単身出向いたりする海外の学会では博士号の有無がどれほど響くか、という事は身をもって知ったからです。
 G型もL型も噴飯ものですし、言い出す輩は最初に書いたような私の先達に近いのでしょう。もとより、故橋本龍太郎元首相からこっち、日本は学術をあきらめた国家ですから、科学立国も技術立国もありません。資源のない国は人に投資するしかないと私は考えますが、そういう考えは古いのでしょうね。

Re: タイトルなし

M氏さま

コメントありがとうございます。
最近、この手の話でカリカリしていることがあり、似たような話に接しますと、いろいろ過剰に(?)反応してしまいます。
昔は、国研だけでなく大学にも?が幾つも付くような人がいましたが、最近はバリバリ研究する若手がかなり雰囲気を変えてくれている中で、L型G型のような話が出てきますと、本当にガッカリしてしまいますね。
本当に、この国は…なんて話になってしまいます。

>  20年ほど前、国立研究機関に勤めていた頃に、トップで論文も学会発表も全くなし、もちろん博士号も無しに国立大教授と同号俸の給与に至った人は研究所に複数居ました。教授と同じ号俸には、大卒なら多少は早さに違いこそあれ、誰でもなれる、というのが普通だったのです。
>  私はその機関にいるうちに論文を積んで論文博士を取りました。たくさんの先任にお世話になるなかで、筆頭著者として書き続けることが必須であることと、単身出向いたりする海外の学会では博士号の有無がどれほど響くか、という事は身をもって知ったからです。
>  G型もL型も噴飯ものですし、言い出す輩は最初に書いたような私の先達に近いのでしょう。もとより、故橋本龍太郎元首相からこっち、日本は学術をあきらめた国家ですから、科学立国も技術立国もありません。資源のない国は人に投資するしかないと私は考えますが、そういう考えは古いのでしょうね。
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いまも愛妻に心のトキメキを覚えるハート庵主人・プリティラヴ博士(DPL)が,皆さまに「愛」の御福分けをいたします.愛妻家および愛妻家ファン必読!過去記事の一覧はこっちだよ.
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