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アメリカ数理科学研究委員会編『数理科学の世界』
何となく秋の気配を感じるようになってきました(「まだ油断できないぞ」とも思いますが).夏が終わるのは寂しいですが,一方で本格的な秋が待ち遠しくて仕方無いDPLであります(一年中で秋が一番散歩に向いていると思います.愛妻と色々歩きたいな).
さて,今日は,DPLを学問の世界に誘った一冊をご紹介しましょう.アメリカ数理科学研究委員会が編集した本で,トポロジーを専門にする数学者・本間龍雄氏が監訳された『数理科学の世界』です(写真).

見ての通り,ブルーバックスの一冊です.以前にもDPLがブルーバックス少年であったことを書きましたが,中でも高校生の時に繰り返し繰り返し読んだのが本書です(手垢でもの凄く汚くなっています.表紙はまだマシですが).
前半は数学の話題が中心ですが,途中から応用色の強い内容になります.例えば,第11章は『数理言語学とはなにか』というタイトルで,数学の言語学への応用を解説しています.「言葉の研究に数学が使えるのか!」と当時高校生のDPLは素直に驚きました.
また,第12章は『素粒子の謎を追う』という物理への応用,第13章は『分子のトポロジー』という化学への応用の話題で,十分理解したとは言えませんが,何となく興奮した覚えがあります.物理への数学の応用は,高校物理からの類推で,読む前から何となく想像がつきますが,化学にトポロジー(位相幾何学)を応用するのは意外な話で(高校化学は全然数学的ではありませんしね),とても興味深く読みました(「眺めました」が正しいな).
第14章は医学や生物学への数学の応用の話で,『数学と生物医学』というタイトルでした.数学と生物学の組合せは,数学と化学の組合せ以上に,当時のDPLにはピンと来ませんでした(今だったら,例えば,数理生態学やバイオインフォマティクスなどを真っ先に思い浮かべますが).この章では,神経繊維行動の微分方程式などが紹介されていました.読んで初めて生物学への応用のイメージが少しだけ持てました.
第15章と第16章は社会科学への応用の話.第15章は『社会科学の求める数学』というタイトルで,線型計画法,ゲーム理論,グラフ理論,マルコフ連鎖などが扱われていました(どちらかと言えば,社会科学というよりもオペレーションズ・リサーチだな).この章は例があまり適切ではなくて,社会科学に数学を応用する「御利益」を正直それほど感じることが出来ませんでした(極めて「限定的」という感じでした).
第16章は『経済学における数学の役割』というタイトルで,執筆者は何とローレンス・R・クラインでした(ノーベル賞を受賞した経済学者ですね).マクロ計量モデルの他(クラインですからね),産業連関分析も紹介されていました.これは面白かったし,「なぜ経済学に数学が必要か」もよくわかりました.この章が無くて第15章だけだったら,「社会科学はつまらないものだ」と早合点してしまったかも知れません.
第17章以降は,主にコンピュータについての話題です.『数値解析とコンピュータ時代』『コンピュータで二次方程式を解く』『コンピュータ・サイエンス』などがそのタイトルですが,分からないなりにワクワクするものを感じました.コンピュータが神格化されていた時代ですし.
この本を読んだ高校生DPLは,「そうか!どんな分野に進んでも,数学からは逃げられないんだ!」と早合点してしまいました.前にも書きましたように,DPLは農学部に進学しましたが,理系学部と思って覚悟していたのに数学があまり出てこなくて拍子抜けしたりもしました.
まあ,農学部の講義であまり数学が出てこないと言っても,農業土木とか農業機械の分野は別です(これらは工学ですから).それから,統計学の巨人で実験計画法の父であるロナルド・フィッシャーが農事試験場の研究員だったことからわかりますように,統計学に関して言えば,農学とは縁が深いですけどね.
それは兎も角,この本はDPLの学問への「憧れ」を醸成してくれました.経済学(DPLは今は経済学部の所属です)の世界では数理的アプローチを得意とする人が少なくありませんが,DPLはそれには該当しません.しかし,この本がDPLの職業人生に与えた影響ははかり知れません.今さらの話ですが,中高生の頃の読書は大切だと思います.暇があれば携帯電話を開いている人々を見ますと,「勿体無いな」と心の底から思います.
書誌データ
http://www.amazon.co.jp/dp/4061177982
さて,今日は,DPLを学問の世界に誘った一冊をご紹介しましょう.アメリカ数理科学研究委員会が編集した本で,トポロジーを専門にする数学者・本間龍雄氏が監訳された『数理科学の世界』です(写真).

見ての通り,ブルーバックスの一冊です.以前にもDPLがブルーバックス少年であったことを書きましたが,中でも高校生の時に繰り返し繰り返し読んだのが本書です(手垢でもの凄く汚くなっています.表紙はまだマシですが).
前半は数学の話題が中心ですが,途中から応用色の強い内容になります.例えば,第11章は『数理言語学とはなにか』というタイトルで,数学の言語学への応用を解説しています.「言葉の研究に数学が使えるのか!」と当時高校生のDPLは素直に驚きました.
また,第12章は『素粒子の謎を追う』という物理への応用,第13章は『分子のトポロジー』という化学への応用の話題で,十分理解したとは言えませんが,何となく興奮した覚えがあります.物理への数学の応用は,高校物理からの類推で,読む前から何となく想像がつきますが,化学にトポロジー(位相幾何学)を応用するのは意外な話で(高校化学は全然数学的ではありませんしね),とても興味深く読みました(「眺めました」が正しいな).
第14章は医学や生物学への数学の応用の話で,『数学と生物医学』というタイトルでした.数学と生物学の組合せは,数学と化学の組合せ以上に,当時のDPLにはピンと来ませんでした(今だったら,例えば,数理生態学やバイオインフォマティクスなどを真っ先に思い浮かべますが).この章では,神経繊維行動の微分方程式などが紹介されていました.読んで初めて生物学への応用のイメージが少しだけ持てました.
第15章と第16章は社会科学への応用の話.第15章は『社会科学の求める数学』というタイトルで,線型計画法,ゲーム理論,グラフ理論,マルコフ連鎖などが扱われていました(どちらかと言えば,社会科学というよりもオペレーションズ・リサーチだな).この章は例があまり適切ではなくて,社会科学に数学を応用する「御利益」を正直それほど感じることが出来ませんでした(極めて「限定的」という感じでした).
第16章は『経済学における数学の役割』というタイトルで,執筆者は何とローレンス・R・クラインでした(ノーベル賞を受賞した経済学者ですね).マクロ計量モデルの他(クラインですからね),産業連関分析も紹介されていました.これは面白かったし,「なぜ経済学に数学が必要か」もよくわかりました.この章が無くて第15章だけだったら,「社会科学はつまらないものだ」と早合点してしまったかも知れません.
第17章以降は,主にコンピュータについての話題です.『数値解析とコンピュータ時代』『コンピュータで二次方程式を解く』『コンピュータ・サイエンス』などがそのタイトルですが,分からないなりにワクワクするものを感じました.コンピュータが神格化されていた時代ですし.
この本を読んだ高校生DPLは,「そうか!どんな分野に進んでも,数学からは逃げられないんだ!」と早合点してしまいました.前にも書きましたように,DPLは農学部に進学しましたが,理系学部と思って覚悟していたのに数学があまり出てこなくて拍子抜けしたりもしました.
まあ,農学部の講義であまり数学が出てこないと言っても,農業土木とか農業機械の分野は別です(これらは工学ですから).それから,統計学の巨人で実験計画法の父であるロナルド・フィッシャーが農事試験場の研究員だったことからわかりますように,統計学に関して言えば,農学とは縁が深いですけどね.
それは兎も角,この本はDPLの学問への「憧れ」を醸成してくれました.経済学(DPLは今は経済学部の所属です)の世界では数理的アプローチを得意とする人が少なくありませんが,DPLはそれには該当しません.しかし,この本がDPLの職業人生に与えた影響ははかり知れません.今さらの話ですが,中高生の頃の読書は大切だと思います.暇があれば携帯電話を開いている人々を見ますと,「勿体無いな」と心の底から思います.
書誌データ
http://www.amazon.co.jp/dp/4061177982
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